診療哲学
技工物について
大原歯科では技工所さんから納品される技工物の精度(出来上がりのフィット)を高倍率ルーペで毎回チェックしています!
技工物と患者さんの歯のフィットは大丈夫かどうか?
銀歯などの技工物の内面に汚れがあるかどうか?
それぞれの患者さんのオーダーメイドのための指示通りに技工物が仕上がっているか?
など。
詰め物、銀歯などなるべく長い期間、患者さんに安全に使っていただけるように心がけています!
歯について思うこと
「毎日手入れが必要な歯」
「歯は飾りではなく、ハサミや包丁のように毎日使うもの。
目減りもするし、かけたりもする。 だから手入れが必要。」です。
もちろん、見た目(審美)も大事ですが、それより先に歯の機能を大事にしないといけません。
ほとんどの治療において、機能が健全な状態になったら、自然に美がそこそこついてくる、というのが私の今までの実感です。
■治療するよりも先に、考えてください
歯のない部分がある場合、ブリッジか、義歯か、インプラントかなどを考える前に、 なぜその歯を失い、インプラントや義歯などの治療が必要になるかを考えてみてください。
それには、バイ菌の影響だけが関係するのではなく、上下の歯のかみ合う形や、体の癖などの生活習慣が深く関ります。
矯正治療においては 「 どうして、こういう歯並びになっているのか? 」
という原因をきちんと考えないと、矯正の装置で歯を一生懸命に動かして、いったんきれいにしてもまた、歯並びは悪くなります。
「装置は何を使うのか?」
「抜歯をするのか、しないのか?」 ということよりも
なぜ歯並びが悪くなったのか、考えることが大事なのです。
成長期にしかできないことがあります。
早い時期にそれに気付き、実践することが子どもにとって、プラスになります。
さらに体の中の力がアップすることにもつながります。。。。
歯を失った原因を考えないと、ブリッジをしようが、義歯をしようが、インプラントをしようが、いかなる治療をしようとも、いつかは壊れてしまいます。
なぜなら、考えなければ、悪くなる原因が残ったままだからです。
例えば、家全体がだんだん歪んできていることによる雨漏りに対して、原因を考えずに雨漏り部分だけ修理しても、再び雨漏りがするのと同じです。
そうなった原因・背景を推察することが、とても大事です。
■木を見て森を見ず。メリットとデメリットを天秤に
最近、MI(Minimal Intervention )という言葉が見受けられるようになりました。 最小限の侵襲により、最大の治療効果を得ることです。
確かに、歯をあまり削らずに済むにこしたことはないです。
私も歯を削る音は好きではありません。
「歯をあまり削らない」が歯科治療において大事なのではありません。
「治す」が目的です。
歯科医師の視点から診て、
「この奥歯の上下の咬み合いでは、将来、歯が割れるか、グラグラして歯を失う。
少し咬み合わせを削れば、無理な力が避けられ、歯の寿命が延びる可能性が高い」
と判断している時に、歯をけずることもあります。
このケースでは、咬み合わせのよくない歯を少し削ることで歯を失わないように予防することが MI(最小限の侵襲により、最大の治療効果を得ること)です。
トータルでバランスを考え、メリット・デメリットを天秤にかけ、その時の技術でベストな選択をするというのが良いですね。
■「予防する。治す。安定させる。」ことを大切に考えています
おおはら歯科・矯正歯科のテーマは、「治して、安定させる」です。
治して、安定させるために必要なものはいろいろあります。
- 症状が生じた原因・背景・ストーリーをしっかり見極めること
- 患者さんが努力すること、医療者がなすべきことを明確にすること
- 患者さんと医療者(スタッフを含む)が治すために、同じ方向をしっかり見つめ、1歩1歩、進むこと(治すことはマラソンに似ています)
まず、機能的に長期安定していることが、「治っている」目安です。
治すために、基本的虫歯治療、根の治療、矯正治療、歯周病治療、被せ治療、入れ歯(義歯)治療、インプラント治療などの様々な治療があります。
「治して、安定させる」という目的のために、様々な治療オプションがあるのです。
目的は昔から同じで、治療オプションは時代とともに変わっていきます。
できる限りの滅菌・消毒により、安全に治療するようにする環境を整えることは、これらを支えることにつながります。
■いろんな治療も大事です。入れ歯も大事です。
いろいろな治療技術があることはとても大事です。
インプラントも多くの患者さんを救う大事な治療です。
それと同時に、入れ歯(義歯)やブリッジなど、長い歴史を持つ治療技術も大切にしていかなければなりません。
全身疾患等のため条件が合わないために、インプラントがしたくてもできない人にとって、入れ歯の技術がなくなってしまっては大変です。
入れ歯も大切です。
ブリッジは、失った歯の両隣の歯を削るというデメリットはあるものの、そのデメリットをはるかに超えるメリットがあれば、患者さんのためになります。
大切なのは悪くなった原因をしっかり見極めること、メリット・デメリットを天秤にかけて、各患者さんにとって、最も良い選択肢を提案することです。
そうすることで、歯は必ず長持ちします。
無事が何より、長持ちが何より
おおはら歯科に定期健診で来院される患者さんに 「調子はどうですか?」
と尋ねます。
すると ほとんどの患者さんは 「問題ありません。大丈夫です。」
と答えてくれます。 とてもうれしいですね。
一度作ったお口元の平和が、いつまでも無事であることが何よりです。
長持ちが何よりですね。
平和・無事のありがたさは、なくなった時によく分かります。