お子さんがいらっしゃるほとんどの皆さんにとって、

口腔機能発達不全症という言葉は、たぶんあまり聞きなれないと思います。

口腔機能発達不全症は、子ども達における新たな病気です。

これは、乳児期の授乳の方法や、離乳食の方法、食べる時の姿勢、いつもの生活におけるお子さんの遊び方など、いろんな要因が複合して生じる可能性があります。

3つの予防方法

最近ではお子さんの虫歯の数は減少している一方で、不正咬合は約6割以上にも増えていると言われ、年々増加しています。

お子さんの歯並びの乱れやバランスの良くない咬み合せは、口腔機能発達不全症と深い関係があります。

口腔機能発達不全症を放置すれば、次のようなトラブルの恐れがあります。

気を付けないといけないのは、成長後(13~15歳以降)の改善する見込みがないので、「虫歯」や「歯周病」と同様に「歯並び」の予防も大切ということになります。

大原歯科では、新たな病気である口腔機能発達不全症を予防するということに力を入れ、お子さんと親御さんに対して多様な情報提供をしています。

口腔機能発達不全症は、実際どういう事が起きるか。

  1. 顎の成長不足で、顔が上下に長くなる。
  2. 顎が十分に大きくならないことで、歯並びや咬み合せが悪くなる。
  3. 顎の成長不足により、空気の通り道である鼻腔や気道が狭くなり、呼吸が難しくなる。

お子さんの口腔機能発達不全症をチェックしてみましょう。

お口元の役割には、生きていく上で絶対に必要な「食べる」や「呼吸する」という働きがあります。

さらに、「話す」、「表情を作る」という社会で生きていく上で必要なコミュニケーションにも非常に深く関わります。

元々、私達人間は個人個人にとってそれなりに正しいとされる歯並びになるようにできているはずです。それにブレーキをかける要因(お口周囲の悪い癖)が多くなることで、「食べる」「呼吸する」「話す」「表情を作る」にトラブルが生じるとされています。

元々の骨格的要因などを全く否定するわけではありませんが、口腔機能発達不全症はその多くが早期のトレーニングやプレオルソという道具などによる治療により改善・解消が可能だと言われます。

実際に多くの子達の歯並びや口腔機能が改善されています。

次のような症状に心当たりはありませんか?

口腔機能発達不全症のチェックポイント

(食事について)

□ 食べ物がしっかり噛むことができない。

□ 飲み物や食べ物をうまく飲み込めない。

□ 食べこぼしがよくある。

□ 食事中にむせることがよくある。

□ 食事が極端に早い、あるいは極端に遅い。

□ 食事の時に、クチャクチャと音を立てて食べる。

□ 口の中にいっぱい食べ物を詰め込んで食べる。

□ 乳児の場合、ちゃんと授乳できない。

 

(発音について)

□ 口を閉じることが難しく、パ行が発音しにくい。

□ 舌が上手に動かずに、カ行、サ行、タ行、ラ行をうまく発音できない。

□ 滑舌が良くない。

 

(いびき・顔面の変形・猫背など)

□   いびきがある。

□   肥満である。

□   顎の形の変形

□   顔の前後が短くなり、上下が長くなっている。

 

(その他)

□ お口がポカンと開いている。

□ 鼻呼吸ではなく、口呼吸をしている。

□ 歯並びが良くない。

□ 離す時に唾が口の横にたまる。

□ 舌が短くて、アッカンベーと舌を突き出した時に先端がくぼむ(極端な場合、ハート型になる)。

□ 口を閉じた時に顎の先が梅干し状態になる。

□ 唇にぐっと力が入る。

□ 笑う時に頬がふっくら盛り上がらない。

□ 口角が上がらない。

□ 唇が厚ぼったい。

□ 顔の血色が良くない。

□ 目に力がない。目の下にクマがある。

□ 表情が暗い。健康的でない。

 

どれか一つでも該当したら、口腔機能発達不全である可能性があります。

これらの症状は、お子さんが実はお口を上手に使えていないことが原因であることが多いのです。

最近では、こういったお子さんが増え、同時に口腔機能発達不全症と深く関わる歯並びの悪いお子さんが増えてきているのです。

個人的には30年前とはずいぶんお子さん達の様子が変わってきていると感じます。

口を使って人はご飯を食べる・・・

昔では当前の事ですが、この当前の事が現在の生活において自然に学習されていますでしょうか?

ほとんどの皆さんが自然に身につくとお考えかと思いますが、この昔では当たり前だったことが、今や自然に身に付かないことが、少なくないのです。(涙)

このようなお口を使う方法は、乳幼児期における哺乳、離乳食の時期、それから通常の食事へ、というふうに段階的に少しずつ、学習するものです。

しかしながら、それぞれの時期における食事の方法が、昔とはずいぶん変化しており、昔本来ならば、普通に学習できていた良好なお口の使い方が、獲得できないまま、お子さんが大きくなっていしまっていることもあるのです。

このように上手にお口を使うことができない症状が口腔機能発達不全症と名づけられ、2018年度から新しい病気として認められ、保険治療の対象となった経緯(いきさつ)があるのです。

早期に取り組む事のメリット

少年老いやすく学なりがたし・・・というコトワザがあります。

早い時期に口腔機能発達不全という病気を知り、少しでもできることをすることで次のようなメリットがあります。

  • 何でも良好に咀嚼することができる綺麗な歯並びになる。
  • 病気にかかりにくくなり、健康で正しい成長が促進される。
  • より顔立ちが良好になり。

口腔機能発達不全症によりどのような悪影響があるか

口腔機能発達不全症を放置してしまって何もしなかった場合、下記のような悪影響が長期的に起きるリスクがあるとされています。

そして、注意しなければならいことは、そのように成長した後は、幼少期に比べて改善しづらくなり、改善するのにもかなりの労力が必要となるということです。

根本的な問題が解決されなかった場合、成長後(主に15歳以降)にいくら矯正をして歯並びを改善させたとしても、元の悪い歯並びに戻ってしまうことまであり得るのです。(涙)

①歯並びが乱れ、咬合バランスが悪くなる。

本来ならば、私達の上と下のアゴ(顎骨)は、お口周りの筋肉の適正なバランスや咀嚼を繰り返すことで加えられる適正な力によえう刺激によって、健康的に成長します。

口腔機能発達不全症では、アゴに適度な刺激が加わらず、適切な成長を促さないリスクがあります。そして顎が小さいままとなり、歯並びが悪くなるということに陥るのです。

②口腔機能発達不全により本来の自然な鼻呼吸が困難になる。

上あご(上顎)への適切な刺激が不足することにより、健康的な呼吸にとって本当に重要な空気の通り道である鼻腔と気道が狭くなり、本来の自然な鼻呼吸がしにくくなり、口呼吸が多くなります。

 ③姿勢が悪くなる。

鼻腔・気道が狭くなると、無意識に気道を拡げるために猫背になり、口呼吸をするようになってしまいます。猫背は首・肩・背中・腰に過剰な負担をかけそのまま成長期を過ごし、成人となり、 年齢を重ねていきます。

④顔が縦に長く見えるようになる。

顎が前方的・側方的に成長不足になると顔の適度な膨らみが得られず、上下に長くなっていきます。

口腔機能発達不全症は何もしなければ、次のような症状を増悪させてしまいます。

例えが適切でないかもしれませんが、丸っこく育つはずのトマトを三角の容器に入れて育てると三角のトマトになります。いったん三角になったトマトを元々の形である丸いトマトに戻すことはかなり困難でしょう。(涙)

まだ形が三角になってしまわないうちに柔軟性があるトマトを自然に戻し、本来の形に促すことが、とても重要であることがお分かりになっていただけると思います。

骨格的な異常はこの時期に治療することがとても効果的で、成長後に悔やんでも骨格的な異常を治すには、現時点での治療技術では外科手術が必要となります。(成長後の骨格の異常は、歯の移動のみの矯正治療では改善ができません。)

鼻呼吸できずに呼吸となり、さらに気道が狭く呼吸が苦しく慢性的な酸素不足になれば、集中力が低下し、姿勢が悪くなり、将来多くの禍根を残すことにもなりかねません。病気の原因になったり、勉強・仕事に悪影響を与え続ける可能性があります。

さらにお子さんが高齢者になる前後において、自分の力で食事をすることが難しくなる口腔機能低下症になる危険性が高まります。

小児の口腔機能発達不全症の放置は一生にわたって悪影響を及ぼす意味合いがあるということです。

 

(口腔機能発達不全症の対策・予防矯正処置)

予防矯正治療は、歯並びが悪くなる根本原因である舌の位置や動かし方や口腔周囲筋の力バランスの改善を図り、よりキレイな歯並び、お子さんのより良いお顔立ちより健康的な成長を促進する治療です。

お口・顎の適切な発育と良い歯並びは、お子さまの健康的な成長にとってとても大切です。お口周囲の悪い癖があれば歯並びも悪くなります。

さらに虫歯や歯周病になりやすくなり、成長後に働き盛りやお年寄りになった時に歯を多く失ってしまう危険性が高まります。

さらに、風邪を引くやすくなるなど病弱になり、全身にまで影響を及ぼすことが知られるようになりました。

大原歯科では、お子さまの口から全身に関係する健やかな成長について、皆様にいつも情報提供をしています。